子どもにとって、環境はとても大事です。
特に、特性をお持ちの子ども達の成長を見守り適切な対応を求められる、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの療育施設では、施設の環境を良くする必要があります。
今回は、療育施設の環境を良くするためのポイントを、いくつかご紹介していきます。
療育施設における、整えるべき環境とは
環境とひとことで言っても、様々なことがあります。
- 施設内の空間における環境
- 職員間における環境
- 仕事における環境
主にこの3つです。
この3つの環境が悪いと、子どもに悪影響を及ぼしてしまうので注意してください。
それでは、1つひとつ細かく見ていきましょう。
施設内の空間における環境
施設内の空間とは、施設内の部屋や廊下、中庭といった子どもが過ごす空間のことです。
子どもが過ごす場は清潔でなければなりません。
まず、日々の掃除は欠かせませんね。
ゴミも落ちていない床、ピカピカに磨かれた鏡や窓ガラスは、見ていて気持ちが良いものです。
また子ども達と一緒に掃除をすることで、SSTにも繋がります。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)
SSTとは、日本語では社会技能や社会的技能と表現されます。
日本ソーシャルスキル協会によると、相手の気持ちや状況を尊重しながら、 自分の気持ちや状況を上手に伝えられるスキルとしています。
自分の気持ちや考えを相手に伝えたり、相手の気持ちを察することが苦手な子ども達に、人とのコミュニケーションを具体的に見せたりロールプレイしたりして訓練します。
物や遊び道具を整理整頓し、どこに何があるかわかりやすくすることも大事です。
子どもが使う道具や遊具、その日のスケジュールなどは、写真や文字・イラストなどで視覚支援することも有効です。
職員間における環境
職員間における環境は、最重要です。
どの職場でも、人間関係の悩みはついて回りますね。
職員との関係から鬱になってしまうという話もよく耳にします。
むしろ人間関係を良くすれば他は勝手についてくるので、まずは職員間の環境に尽力しましょう。
職員との人間関係を良くする為には、以下の3つが重要です。
- 適材適所
- 会議
- 雑談
適材適所
発達障がいの子どもに凸凹があるように、私たち大人にも凸凹があります。
凸凹=得意と苦手
得意と苦手、得手と不得手、好きと嫌い、長所と短所。
これらがない人なんていませんよね?
例えば、パソコンが苦手な初心者に資料作成を頼むのと、パソコンが好きで得意な人に頼むのとでは、どんな違いがあるのでしょうか。
- 時間効率
得意な人がやる方が早く終わるに決まっています。 - モチベーション
苦手なことはストレスが溜まります。 - 楽しさ
好きなことは楽しい。
嫌いなことは楽しくない。
言わずもがなですが、こんな感じです。
以前、私が働いていた職場での話。
パソコン初心者の女性職員がいて、その子は管理者のお気に入りでした。
管理者は少しでもその子と一緒にいたい為(憶測ですがw)、あろうことか職員のシフト作成を任せました。
当然時間がかかり、教える職員も同様に時間を取られます。
ミスも多く、手直しばかり。
その子はパートで時給だったので、調整の為に他のパート職員の勤務時間が削られていました。
また、シフト作成初心者のその子は、自分の都合で作ります。(気の合う職員と同じ日同じ時間にするなど)
仕事の効率以前の問題やろ。
仕事の効率、そして人間関係までも崩してしまった、非常に悪い例でした。
仕事においては適材適所。
得意なことは得意な人に任せてしまうのが、もっとも効率が良く、更に職員間の関係も良くなります。
会議
会議での効率を図るにも、いくつかポイントがあります。
- 事前準備
話し合っておく項目はもちろん、ある程度の意見も聞いておき、レジュメにまとめます。 - 記録
レジュメに書き加えていきましょう。
手書きの場合はそのまま提出してもいいですが、パソコンでもOK。
得意なほうで。 - 子どもの伸びた点
会議の終わりに、子どもの伸びた点を出し合います。
全員で楽しくおしゃべりするような雰囲気で。
職員の良かった点を挙げるのもOK。
事前準備と記録は基本ですね。
司会進行と記録の担当者が連携し、やりやすい方法を決めましょう。
少人数の施設では、両方を1人でやるのも効率的ですが、その場合はパソコンに精通した人でないと難しいかもしれません。
最後の子どもの伸びた点を言い合うは別になくてもいいですが、利点としては職場に和やかな雰囲気が作れること、職員同士の団結力が高まること、子どもへの共通理解が深まることです。
これは、以前私がいた施設で実際に行っていました。
提案したのは、あるベテランのパート職員。
パート職員の意見も尊重したことも、良かった点の1つでした。
雑談
先ほどの会義の終わりの子どもの伸びた点を言い合う場もそうですが、職員同士の楽しいおしゃべりの時間は大事です。
特に管理者や主任、児童発達支援管理責任者といった立場の人にこそ必要です。
立場があるからといってお高くとまったり、高圧的な態度だったりすれば、人間関係が悪くなるのは目に見えています。
私は、上の立場の人ほど謙虚さが不可欠だと思っています。
気軽に話せる雰囲気作りをしましょうと言っているのです。
療育施設は職員数が少ないところも多いです。
小さなコミュニティの中で、やれ権力だ、やれ派閥だと言う方がおかしいのです。(体験談w)
小さなコミュニティなら、アットホームさを意識しましょう。
家族のように、言いたいことを言い合える関係を作ることが人間関係を良くする為の秘訣です。
アットホームで温かい優しい雰囲気のある施設なら、子ども達ものびのびと楽しく、日々を過ごせることでしょう。
仕事における環境
仕事における環境には、仕事をスムーズに進める為の環境整備が必要です。
まず、施設内の空間における環境と同様、使うものを整理整頓するのは基本ですね。
よく使うものを取りやすい場所に置いたり、合わせて使うことの多いものを近くに置いたりするなど、効率を重視しましょう。
効率を良くすることで時間的余裕ができ、心にも余裕が生まれます。
心の余裕は子どもに対応する際に必要です。
心に余裕がなく、いつも焦りを感じていたら、見落としやミスに繋がってしまいますね。
事務業務、製作業務を行う場所は分け、それぞれに使うものを使いやすく整理して配することで、業務時間を短縮することができます。
パソコンのデスクトップの環境整備も忘れないようにしてください。
ゴチャゴチャとアイコンを無造作に並べておくのではなくて、業務ごとにフォルダを作り、どこに何のファイルがあるかすぐにわかるようにしておきましょう。
職員間における環境にも出てきましたが、仕事においても適材適所は大事です。
例えば、運動が得意な男性職員に音楽の活動を任せたらどうでしょうか?
製作が得意な女性職員にダンスの見本を任せたらどうでしょうか?
好きな遊び、得意な科目で力を発揮すれば良いのです。
自分が好きで得意な遊びなら、自信を持って楽しんで取り組めますよね。
誰でも得意なことがあるので、得意な人に任せればいい。
不思議と得意はばらけています。
ピアノは毎日のことなので、ある程度は弾けるようになるべきですが、それ以外の特定の活動(運動、工作、音楽など)は得意な職員に担当してもらいましょう。
もちろん全てを任せて知らん顔をするのではなく、あくまでもリーダーとなって仕切ってもらいます。
役割分担をして、できることを率先してやりましょう。
たとえ新任でも、得意なことはベテランよりも上手なものです。
任せることで責任感が、やり遂げることで自信も育つので、一石二鳥ですね。
まとめ
今回は、私が実践していたことをまとめてみました。
実際に効果のあったものばかりですが、これは私が児童発達支援管理責任者だった頃の話です。
なので、管理者や児童発達支援管理責任者に向けての話となります。
いち保育士、いち支援員、いちパート職員という立場だと、施設によってはなかなか言い出せないかもしれません。
管理者、児童発達支援管理責任者の心構えとして、人間関係の構築に役立てていただければと思います。
私の場合は、これを実践していた時の職員との関係性はとても良かったのですが、管理者にはいまいちでした。
管理者は高圧的な人だったので、それこそ「派閥ができては困る」と怒られたこともあります。
私は上には厳しい面があり、それを態度に出してしまうたちだったので、うまくいきませんでした。
立場のある人間はわきまえているべき、との考えがあったので。
人を理解できない人は、療育施設の管理者をやるべきではないと考えています。
もちろん管理者だって人間なのですから、得意も苦手もあるでしょう。
それはわかっていますが、自分の苦手を自覚し、改善しようと試みることが大事なのでないでしょうか。