「放課後等デイサービスは稼げる」とうたわれ、新規に参入する方も多いと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
今回は、これから放課後等デイサービスを始めたいと考えている方へ、放課後等デイサービスの実状や成功の秘訣をまとめました。
放課後等デイサービスの現状
放課後等デイサービスとは、障がいのある就学児童(小学生・中学生・高校生)を対象に支援をおこなう施設です。
主に、学校の授業終了後や長期休暇中に通い、自立に向けた様々なプログラムを行います。
放課後等デイサービスの事業所数は年々増加しており、厚生労働省によると児童福祉法改正でサービスが始まった平成24年度では2,887ヵ所だった事業所数が、平成30年度には1万2,930ヵ所と、かなりの増加が見られます。
(2019年3月5日 産経新聞)
放課後等デイサービスの利用料は、保護者負担が1割で、残りの9割は国や自治体からの支給となる為、比較的利益を上げやすいと言えます。
その為、福祉事業でありながら、金儲けのビジネスと捉えて事業所を開設するケースが増えました。
最低限の資金で最低限の人員配置で行う為、必要な療育を行えず、テレビやタブレットを見せてただ預かるといった事業所も数多く存在しているのも事実ではあります。
厚生労働省から「放課後等デイサービスガイドライン」が作成され、自己評価表の公表が義務付けられる等、療育の質を上げようとの動きもあります。
もちろん質の高い療育を行う事業所も多くありますが、療育の質が低く中身の薄い事業所が存在することも事実です。
放課後等デイサービスの管理者になるには
放課後等デイサービスの管理者は、常勤であれば資格も必要なく、誰でもなれます。
その為、残念ながら、全く経験がなく障がい児への知識や理解もないまま、管理者となって事業を立ち上げる人も多いのが実状です。
放課後等デイサービスにとって重要なのは、管理者よりも児童発達支援管理責任者です。
管理者と児童発達支援管理責任者は兼任可能となっています。
児童発達支援管理責任者の研修を受けるには実務経験が必要な為、児童発達支援管理責任者は、経験から療育に必要な知識を持っている人も多いです。
ですが、療育に対する姿勢や考え方は人それぞれなので、児発管だからといって療育に精通しているとは限りません。
放課後等デイサービス運営の秘訣
放課後等デイサービス運営の秘訣はいくつかあります。
- 療育の質にこだわる児発管を選ぶ
- 向上心のある職員を選ぶ
- 療育に必要な事や物への出費をケチらない
療育の質にこだわる児発管を選ぶ
児童発達支援管理責任者は、療育の方向性を決める療育の要です。
児発管の研修でも「なぜこんな人が受けに来ているのか」と疑問に思うような人も何人かいました。
研修さえ受けられれば、どんな人でも児発管になることができるからです。
このシステムも疑問符ですが、残念ながら事実です。
もし児童発達支援管理責任者ではないあなたが、放課後等デイサービスを開設しようとするなら、まずは療育の質にこだわる児発管を見つけてください。
放課後等デイサービスを経営するなら児童発達支援管理責任者は必須です。
早く事業を始めたいと焦る気持ちもわかりますが、児発管なら誰でもいいという考えはおすすめしません。
良い口コミを広めてもらうには、質の高い療育をするしかないのです。
中途半端なことをしていては、増えるものも増えませんよ。
療育の質を高めるには、療育に対して向上心のある児童発達支援管理責任者が必要なのです。
向上心のある職員を選ぶ
向上心のある児童発達支援管理責任者は必須ですが、当然ながら児発管1人では何もできません。
共に質の高い療育を行っていく職員が必要です。
児発管の持つ療育の方向性を理解し、向上心を持って療育に従事できる人を集めてください。
まずは加算に必要な保育士ですが、できれば現場経験のある人が望ましいです。
療育は小集団で行います。(個別療育専門の施設もあります。)
小集団とはいえ、子ども達の前に立って指導しなければならないので、幼稚園や保育所での担任の経験が光ります。
無資格者も、療育への気持ちのある人は歓迎です。
例えば、身内に障がいを持ったお子さんがいる方は療育に関心があるでしょうし、育児経験のある方は、経験から保護者対応ができるでしょう。
とにかく人材が全てです。いかに療育への気持ちを持った人を集められるかで、良質な事業所を作れるかが決まります。
療育に必要な事や物への出費をケチらない
療育への知識が薄い人が管理者になった場合、必要な物を購入してもらえないことがよくあります。
それこそ、100円均一のシール1枚満足に買ってもらえない等、現場からするとイライラしますよね。
もしあなたが療育の経験のない管理者なら、療育に関しては全面的に児童発達支援管理責任者に任せてください。
療育内容だけでなく、購入物品の選別も、事業所の方針も、全面的に児発管に任せてください。
最低基準の人員配置では質の高い療育はできないので、基準以上の職員を配置してください。
もちろん、事業開始から2ヵ月は国からの支給もなく運営は厳しいと思いますが、そこまで考えた上で計画性を持って臨めば、保護者の信頼を得ることができ、結果として収入に結び付いていくはずです。
最近よく目にするFC(フランチャイズ)の放課後等デイサービスの広告は、「最低限の人と資金で稼げます」等の謳い文句でCMしていますが、その言葉を鵜呑みにしないでください。
子どもの特性が様々な以上、マニュアル通りに動いても意味はないのです。
発達や特性への理解、その子の特性に合った対応、臨機応変さが求められます。
まとめ
今回は管理者の視点から、放課後等デイサービスを運営する経営者の心得をまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
もしかしたら少し辛口に感じた管理者の方もいらしたかもしれませんが、療育を金儲けと捉えてほしくないので、ご容赦ください。
放課後等デイサービスは、障がいを持ったお子さんが将来少しでも生きやすくなるよう、必要なスキルを指導する場であり、家庭と学校以外の居場所であり、保護者が相談する場でもあります。
職員は療育に関して専門的な知識を持ち、療育は環境が整えられた場所で行われなければなりません。
これから放課後等デイサービスを開設しようと思っておられるなら、どうか質の高い療育ができる場所にしてください。
1人でも多くの子ども達に、少しでも質の高い療育が行えるよう、祈っています。
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